お客様の課題

小型モビリティの導入によるショッピングモールの魅力向上やにぎわいを検証したい

某ショッピングモールのマーケティング担当者様は、そのショッピングモールの敷地が広大であり顧客の行動範囲が限定的で、エリアによっては集客数に差が出てしまっていることを課題と考えられていました。そこで移動の利便性を向上させる手段として、小型モビリティの導入を検討していました。しかし、事前に小型モビリティの導入効果を現実で検証することは容易ではありません。

課題を解決した結果

利便性の向上につながる小型モビリティの導入方法の検討ができた

顧客の購買行動や回遊行動の意思決定を模擬するマルチエージェント・ミュレーションを用いて、小型モビリティの導入効果について評価しました。

*複数(マルチ)の「エージェント」を用いた仮想実験(シミュレーション)のこと。
「人(エージェント)の条件、空間の条件等を自由に設定できる」「エージェント同士の相互作用を表現できる」「何度でも実験できる」といった特徴を持つ。


空間魅力度
訪問店舗数、移動量、移動時間など利用者に関する出力評価指標を統合して評価

エリアのにぎわい
混雑量や滞在時間など店舗ごと・エリアごとの出力評価資料を統合して評価

これらの観点に注目して評価を行い、小型モビリティ導入による効果を定量的に検証することができました。

さらに小型モビリティの台数や設置個所などの条件を変化させたシミュレーション結果を用い、複数の小型モビリティ導入パターンについて比較検討を行いました。その結果、エリアごとの集客数の格差が小さく、上記2つの評価基準が高い導入方法を見つけられました。

解決のために行なったこと

シミュレーション技術を用いて、小型モビリティの有効な導入方法について多角的な分析を実施

「シミュレーション」とは、予測や分析のために現実を模したモデルによって行う仮想実験のことです。本件では、マルチエージェント・シミュレーションを利用して小型モビリティの導入方法の検討を実施しました。

次のプロセスを繰り返すことで、小型モビリティの有効性を検証し、より効果的な導入方法を目指しました。

STEP1顧客の購買行動や回遊行動を模擬したシミュレーションを構築
STEP2回遊行動シミュレーションの実施・評価結果の分析
STEP3小型モビリティの導入案の検討

STEP1.顧客の購買行動や回遊行動を模擬したシミュレーションを構築
目的やスケジュール等によって変化する人の購買行動や回遊行動をモデル化し、さらに小型モビリティを導入した場合の移動距離や移動速度などの行動の変化を模擬するシミュレータの構築を行いました。

【シナリオにおいて考慮する条件の例】
例えば下表のように、シミュレーションの対象となる人・空間等の種類や特徴を具体的に定義します。

目的、スケジュール、移動距離、移動速度、など
空間店舗の種類・配置、通路や階段の幅・位置、
オープンスペースの大きさ・位置、など
小型モビリティ移動速度、設置場所、台数、など

STEP2. 回遊行動シミュレーションの実施・評価結果の分析
STEP1で構築したシミュレーションモデルで検討したシナリオを実施し、訪問者数や滞在時間、移動量などのシミュレーターの出力を用いて次の評価指標を整理しました。

空間魅力度
訪問店舗数、移動量、移動時間など利用者に関する出力評価指標を統合して評価

エリアのにぎわい
混雑量や滞在時間など店舗ごと・エリアごとの出力評価資料を統合して評価

上記の最終評価指標を用いて、シナリオごとの導入効果を定量的に評価しました。

【評価方法のイメージ】

STEP3. 小型モビリティの導入案の検討

小型モビリティを導入する際の課題を検討するため、以下のような事象を考慮して条件を変更しながら繰り返しシミュレーションを実施しました。そこで得られた評価結果をもとに、小型モビリティの具体的な導入方法についてご提案しました。

《条件変更の例》

イベント開催時イベントエリアの利用者を増加
エリアのレイアウト変更時通路・オープンスペースなどの条件を変更
店舗の変更時店舗ジャンルの変更に伴う利用者の移動の変更

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